なぜ年末年始に牛乳の消費が急落するのか?学校給食停止と需給のからくりを図解

年末年始に牛乳消費が急減する理由を図解|学校給食停止で生乳が余る仕組み 乳製品
年末年始は学校給食停止で牛乳需要が急減する
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年末年始になると「牛乳が余る」「廃棄の危機」といった報道が増えます。最大の理由は学校給食の一時停止であり、飲用需要の大きな柱が消えることで生乳の需給バランスが崩れます。本記事では公的データを基に、なぜ年末年始に牛乳消費が急落するのかを図表で示し、家庭・流通・酪農現場で今すぐできる具体的対策を提示します。

年末年始に牛乳の消費量が減る主な3つの理由

新鮮な牛乳のグラスとボトル|朝食やカルシウム補給のイメージ

1) 学校給食の休止(最大の要因)

全国の学校給食が冬休み中は停止するため、給食向けの牛乳供給が一時的にゼロになります。学校給食は年度・実施日ベースで見ても牛乳消費に大きく寄与しており、農林水産省の報告では学校種別供給割合が小学校約68%、中学校約29%と報告されています。給食実施日ベースでは牛乳需要の約20%近くを占めるとされ、この需要がなくなることが需給ギャップの主要因です。

2) 正月の食文化(家庭消費の変化)

正月は伝統的におせちやお餅といった和食中心の食事が増え、朝食や飲み物としての牛乳摂取機会が減ります。加えて冬の気温や生活習慣の変化で飲料全体が控えられる傾向があり、家庭における飲用牛乳の消費も押し下げられます。農水省やJ-Milkの需給分析でも、年末年始・春先が飲用牛乳の最低水準であることが示されています

伝統的なおせち料理を重箱に美しく盛り付けた正月料理

3) 流通・生活リズムの変化(複合要因)

年末年始は帰省や旅行で消費地が移動する、店舗の営業時間が縮小する、外食・業務用途の需要が変動するといった要因も重なります。これにより、日常の販売チャネルやオペレーションが乱れやすく、短期的に消費が落ちます。

ポイント:学校給食の休止(≈20%の需要喪失)と家庭・流通の変化が同時に起きるため、日単位で大きな需給ギャップが発生します。

公的データで見る需給の実態(要点と簡易表)

以下は公的資料に基づく要点です(出典は農林水産省・J-Milkなど)。

項目要点(公的資料より)
学校給食の供給割合小学校:約68〜69%、中学校:約29%(学校種別の供給割合、農林水産省報告)。
年末年始の消費動向飲用牛乳は年末年始・春先に最低水準となる傾向(J-Milk/農水省の需給見通し)。
過去の廃棄懸念2021年コロナ禍では年末年始に約5,000トンの生乳廃棄懸念が報じられ、国の消費喚起が行われた事例あり。

なぜこの問題が現場にとって重大なのか(酪農家の視点)

生乳は生鮮原料であり、短期間での余剰発生は加工能力や在庫(脱脂粉乳等)に大きな負担をかけます。2025年度の需給見通しでも、夏の猛暑や地域別の生産増減などを踏まえつつ、需給変動対策が課題とされています。業界は加工在庫の調整や需給変動対策特別事業などを開始しており、現場レベルでの迅速な対応が求められます。

家庭・消費者が今すぐできる具体的な対策(行動提案)

消費者側の小さな行動が廃棄回避につながります。以下は実践しやすいアイデアです。

  • ホットミルクを習慣化する:牛乳を温めて飲むだけで消費量増。J-Milkの「#私のホットミルク」キャンペーンも参考。
  • 料理や製菓に活用:シチュー・グラタン・ミルクプリン・ミルクパンケーキなどで牛乳を使い切る。
  • 冷凍保存・分配:使い切れない牛乳は製菓用に小分け冷凍、親戚や近隣に分ける。
  • 地域イベントでの消費喚起:地域のマルシェや学校(PTA)と連携してミルクメニューを提供する。企業の年末プロモ(例:コンビニのミルク商品)も消費拡大に寄与。
Hot milk in a cup warmed to 50–60 degrees Celsius using 200ml of cow's milk in a microwave
電子レンジで簡単ホットミルク

酪農・流通現場で行われている対策(概要)

業界と行政は短期・中期の対策を組み合わせています。

  • 加工受け入れの調整:乳製品工場への振替加工(バター、チーズ、脱脂粉乳など)を増やす。
  • 在庫削減施策:在庫(脱脂粉乳等)の適正化や一時的な補助事業の活用(需給変動対策特別事業など)。
  • 消費拡大キャンペーン:業界のSNS企画や流通企業との共同キャンペーンで需要掘り起こしを図る。

事例:2021年の廃棄懸念と呼びかけ

コロナ禍の2021年末、外食需要の落ち込み等で年末年始に生乳約5,000トンの廃棄懸念が報じられ、政府からの消費喚起も行われました。これは年末年始特有の需給ギャップが問題化した代表例です。

まとめ(結論と行動)

年末年始の牛乳消費減少は学校給食の一時停止 × 正月の食文化 × 流通・生活リズムの変化が重なった結果です。需給ギャップは短期間で大きくなるため、家庭での消費喚起(ホットミルクや料理利用)や、地域・流通での連携が非常に重要です。業界側は加工振替や在庫対策を進めていますが、消費者の小さな行動が廃棄回避へ直結します。

参考・出典(主要)

  • 農林水産省「2025年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと課題について」(需給見通しPDF)。
  • J-Milk(一般社団法人日本乳業協会)関連資料・季節変動解説。
  • 農林水産省「令和4/5年度 学校給食用牛乳供給事業概況」。(給食の供給割合等)。
  • 2021年の生乳廃棄懸念に関する報道・事例。
  • 流通企業の冬季商品・消費拡大事例(プレスリリース等)。

この記事は酪農現場の経験と公的資料(農林水産省・J-Milk等)を参照して作成しています。数値は公表資料の最新版を参照のうえ更新しています。引用元の原文をご確認の上、地域ごとの状況に応じた対応を行ってください。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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