腸管出血性大腸菌O157は牛の腸内に存在し、加熱不足の牛肉や汚染された野菜を介して人に重い食中毒を引き起こします。本記事では、症状・感染経路・家庭や飲食店で今すぐできる具体的対策を、厚生労働省や国立感染症研究所の最新データ(2025年)を踏まえながら、肉牛農家である筆者が分かりやすく解説します。
この記事の要点(3つ)
- リスク:牛に常在、少量で発症・HUSに至ることがある。
- 対策:手洗い・器具の分離・中心温度75℃1分以上の加熱が有効。
- 現場のコツ:トング・箸の使い分け、温度計の活用、飲食店での運用ルールが重要。

O157対策は“逆読みで751”と覚えると簡単。中心温度75℃で1分以上の加熱が基本です!

O157とは?牛との関係(基礎)
腸管出血性大腸菌(代表例:O157:H7)はベロ毒素(志賀毒素)を産生し、激しい腹痛や血便、場合によっては溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすことがある病原性大腸菌です。牛などの反芻動物の腸内に存在することが知られており、牛自身は無症状の場合が多い点が特徴です(公的機関のデータ参照)。

主な感染経路と特に注意すべき食品
- 加熱不足の牛肉(ユッケ、レアステーキ、ハンバーグ、タタキ等)
- 牛レバーの生食(2012年以降、生レバーの提供・販売は規制されています)。
- 糞便で汚染された水・野菜(井戸水や洗浄不足のサラダなど)
- 調理器具を介した二次感染(まな板・包丁の共有、手指の不適切な洗浄)

症状と潜伏期間
潜伏期間は一般に約3〜8日。主症状は激しい腹痛・水様下痢、やがて血便となることが多い。小児や高齢者ではHUS等の重篤化リスクがあるため、早めの受診が必要です。
家庭・飲食店で今すぐできる予防(実務チェックリスト)
基本ルール(食中毒予防の3原則)
1) 菌をつけない(調理前の手洗い・生肉を扱う時の注意)。
2) 菌を増やさない(冷蔵保存・早めに調理)。
3) 菌をやっつける(中心温度75℃で1分以上の加熱)。
具体的な運用(家庭向け)
- ミンチ・挽肉は内部まで熱を通す。中心温度は75℃で1分以上が目安(温度計を使うこと)。
- まな板・包丁は「生肉用」と「野菜用」を分ける。洗浄後は消毒を併用。
- 焼肉の箸やトングは「生肉を扱うもの」と「食べるときに使うもの」を必ず分ける。

飲食店・精肉店向け(現場チェック)
- 生食提供は法規制を遵守(牛レバー等の生食禁止を含む)。
- 屠畜〜加工工程での糞便混入防止、挽肉工程の交差汚染対策(設備洗浄の手順書化)。
- 従業員教育:手洗い方法、発症者の出勤停止基準、異常時の保健所連絡フローを明確化。
よくある誤解(Q&A)
Q1:牛の表面だけ洗えば安全?
A:表面の汚れは落ちても、挽肉等では表面の菌が内部に混入している可能性があるため、十分な加熱が必要です
Q2:75℃ってどうやって確認する?
A:食肉用の中心温度計を使うのが確実。家庭用でも低価格の中心温度計が流通しています。温度計で中心温度が75℃を示し、その状態を1分維持してください。
2026年の発生傾向(要点)
近年は焼肉店や加熱不十分な加工肉による散発的な事例が複数報告されています(自治体の注意報や保健所発表)。発生は夏場に多い傾向がありますが、季節を問わず注意が必要です(事例:焼肉店・ハンバーグによる集団発生等)。
現場目線のワンポイント
- 温度計×チェック表:調理時に温度計で測り記録を残す(飲食店でのHACCP的管理)。
- 器具管理:生肉を扱う台は色分けしたまな板/トングを運用。家庭でも実践可能。
- 教育:従業員・家族に「手洗い手順」を見える化しておく。
参考・出典(主要)
- 厚生労働省「腸管出血性大腸菌O157等による食中毒」等。
- 厚生労働省「牛レバーの生食提供禁止のお知らせ(2012年)」。
- 国立感染症研究所(NIID)発表・疫学資料。
- 各自治体(北海道、広島市、岡山市、高知県等)の注意喚起ページ。
記事のまとめ
- O157は牛に常在し、少量で人に重症化を起こし得る(HUSリスクあり)。
- 予防は「菌をつけない・増やさない・殺す」=手洗い・二次汚染防止・中心部75℃1分以上の加熱が基本。
- 飲食店や家庭での実務(調理器具の分離、温度計の使用、トング/箸の運用など)を徹底すれば大部分のリスクは防げる(現場目線の手順を推奨)。
O157は牛に由来するリスクが高い一方で、適切な衛生管理と確実な加熱で防げます。まずは「手洗い・器具の分離・中心75℃1分以上の加熱」を徹底してください。飲食店・精肉業者は工程管理を強化し、家庭は温度計とトング分離で実践を。
※本記事は参考情報です。体調不良や疑わしい症状がある場合は速やかに医療機関を受診してください。
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