栃木・大田原のチーズ「大田原」がMondial du Fromage 2025で金賞受賞 — 味と工房の歩み

栃木・大田原のウォッシュチーズ「大田原」金賞受賞の断面と金メダル|大田原チーズステーション 世界の酪農
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栃木県大田原市の小さな工房「大田原チーズステーション」が製造するウォッシュチーズ「大田原」が、フランスで開かれた国際大会で金賞を受賞しました。この記事では受賞の背景、チーズの特徴や食べ方、購入・訪問のポイントまで、酪農やチーズに詳しくない方にも分かりやすく、実用的にまとめます。地元の生乳が生んだ味を知り、次の食卓や旅の候補にぜひ加えてください。

1. 受賞の概要:何が、どのように評価されたのか

2025年に開催された国際的なチーズコンテストで、大田原チーズステーションが製造する「大田原」が金賞を受賞しました。大会では世界中から多様なチーズが出品され、審査員は風味、テクスチャー、香り、外観、成熟度など複数の観点で評価を行います。

金賞の意味

金賞は最高位のグランプリに次ぐ上位評価であり、国際審査において「そのカテゴリーで高い水準にある」と判断された証です。特にウォッシュタイプは熟成管理と表皮の管理が結果に直結するため、生産技術の高さが反映されやすいカテゴリーです。

受賞製品の基本情報

  • 製品名:大田原(ウォッシュタイプ)
  • 製造:大田原チーズステーション(運営:株式会社デーリィーファーム富士山)
  • 場所:栃木県大田原市
  • 受賞時期:2025年9月

評価されたポイント(要約)

  • バランスの良い塩味
  • 滑らかで「もっちり」とした食感
  • ミルクの優しいコクと余韻の長さ
  • 熟成管理の丁寧さ(外皮の状態・香りの出し方)
チーズの熟成過程
熟成中のチーズ

2. 生産者の背景 — なぜこのチーズが生まれたか

生産者の高橋ご夫妻は、長年チーズ製造に携わってきた経験を持ち、那須地域の生乳を用いた製造を行っています。工房はかつて生乳の冷却施設(クーラーステーション)だった建物を改装して誕生し、「チーズの始発駅」という理念のもと地域の生乳を活かす取り組みを進めています。

技術と素材の融合

チーズの品質は「原乳の質」×「製造技術」×「熟成管理」で決まります。那須の生乳は乳脂肪・タンパクのバランスが良く、繊細な風味が出やすいのが特徴です。これを生かすために製造工程では温度管理、酵素・乳酸菌の選定、表皮の洗い方(ウォッシュ)に細心の配慮が払われています。

那須塩原市の生乳生産量が本州一であることを示す垂れ幕
那須塩原市は本州で最大の生乳生産地です。

将来構想

工房は将来的に自社牧場での乳生産や、地元酒蔵の酒かすを飼料に混ぜた独自のミルクづくりなど、地域ならではの個性を強める計画を持っています。生産から販売までを一貫して管理することで、さらに一段上の品質とブランディングを目指しています。

3. チーズ「大田原」の詳細 — 味・テクスチャー・熟成プロファイル

ここではもう少し専門的に、ウォッシュチーズとしての「大田原」の特徴を分解して解説します。チーズ初心者の方も、まずは「食べたときに何を感じるか」を基点に読むと分かりやすいです。

テクスチャー(食感)

「もっちり」と評されるように、断面は弾性があり柔らかく口中でほどけるタイプです。これは乳タンパクのネットワークを壊しすぎない熟成レンジで管理されているためで、保存・温度管理が整っていれば家庭でも良い状態で楽しめます。

香りと風味

ウォッシュチーズ特有のやや発酵感のある香りと、ほのかな塩味。表皮の発生する香り(表皮由来の微生物が作る芳香成分)と内部のミルクの甘みが調和しており、後味にかけてミルクの余韻が続きます。

熟成のコツ(家庭での扱い方)

  • 冷蔵庫のチルド室で3〜5日以内に食べ切るのが理想。冷蔵温度が低すぎると風味の開きが抑えられます。
  • 食べる30分〜1時間前に常温に戻すと香りと風味が開きます(夏場は室温に注意)。
  • 保存はラップで密封するよりも、開けた容器に吸湿性のある紙を敷く・または専用のチーズケースで湿度を調整すると長持ちします。

4. 食べ方・ペアリング・レシピ提案

金賞の味わいを最大限に引き出す食べ方と、簡単な料理レシピを紹介します。普段の食卓でも手軽にプロの味を再現できます。

おすすめのペアリング

  • 白ワイン(辛口) — 乳のコクとワインの酸味が好相性
  • 軽めのウイスキーやハイボール — ウォッシュの香りとスモーキーさが合う
  • はちみつ・洋梨のコンポート — 甘さと塩味のコントラストが楽しめる

簡単レシピ:大田原チーズのグラタン(2人分)

  1. じゃがいも中2個を薄切りにして耐熱皿に並べる。
  2. 牛乳150ml、塩少々、こしょうを混ぜたソースを回しかける。
  3. 大田原チーズを薄切りにして表面に並べる。(チーズの塩味が強い場合は量を調整)
  4. 220℃のオーブンで表面に焼き色が付くまで12〜15分。仕上げに粗挽き黒こしょうを振る。

ポイント:チーズの香りが活きるよう、焼きすぎに注意。半分溶けてふんわり香る状態がベストです。

5. 購入・取り寄せ・工房訪問ガイド

受賞後は需要が高まるため、購入方法や工房訪問のポイントを押さえておきましょう。

購入のコツ

  • 工房の直売で購入すると新鮮な状態が手に入ります(販売日は事前確認推奨)。
  • 店舗やオンラインでの販売は在庫が流動的なので、事前に在庫状況や発送方法を確認すると安心です。
  • ギフト用途なら配送時の梱包(冷蔵便・クール便)を確認しましょう。

工房訪問(楽しみ方)

  1. 訪問前に営業日・開店時間を確認。
  2. 工房ではチーズの試食やソフトクリーム、アリゴなどの加工メニューを提供している場合が多いので、複数メニューを試して比較してみると発見があります。
  3. 近隣の観光スポットと合わせて日帰りプランを計画すると効率的。週末は混雑する可能性があるため、平日朝が狙い目です。

6. なぜこの受賞が地域にとって重要なのか — 酪農の視点から見た波及効果

チーズの国際受賞は単なる「結果」ではなく、原料となる生乳生産者、流通、観光、そして地域のブランド価値に波及する重要な出来事です。以下は主な波及効果の例です。

地域のブランディング強化

国際舞台での評価は「那須ミルク」や「栃木の酪農」の信頼度を高めます。これにより地域産品の販売力が向上し、観光客誘致にも寄与します。

酪農生産者への好影響

工房が地域の乳を使い継続的に需要を出すことで、酪農家の安定収入につながる可能性があります。さらに製造側と生産側の連携が進めば、原乳の品質改善にも好循環が生まれます。

人材育成と技術継承

注目が集まることで若手の就労希望者や技術習得希望者が増え、地域にとっての「食の産業クラスター」形成が期待されます。

7. よくある質問(FAQ)

Q.「ウォッシュチーズ」とは何ですか?

A. 表皮を塩水や菌液で洗いながら熟成させるタイプのチーズで、表皮の微生物が香りと風味に独特の個性を与えます。

Q. 賞味期限はどのくらいですか?

A. 製造日や保存状態により変わりますが、開封後は冷蔵で数日〜1週間を目処に。購入時の表示に従い、常温では放置しないでください。

Q. 家庭での保存で気をつけることは?

A. 強く匂いを吸いやすい食品なので、他の食品と直接接触しないようにする・通気性を少し残すなどがポイントです。

8. 編集後記(まとめ)

  • 大田原チーズステーションのウォッシュチーズ「大田原」がMondial du Fromage 2025で金賞を受賞。
  • 受賞ポイントは「バランスの良い塩味」「もっちりとした食感」「那須ミルクの旨味」を活かした熟成管理。
  • 食べ方は常温に戻して味を開かせるのがコツ。白ワインや軽めのウイスキー、はちみつや洋梨との相性が良い。
  • 購入は工房直売・公式通販(在庫変動あり)が中心。訪問前は営業日や販売状況を確認すること。
  • 今回の受賞は地域ブランド強化や酪農振興につながる重要な出来事で、今後の展開にも注目。

大田原チーズステーションの「大田原」が国際コンテストで金賞を受賞したことは、地域の酪農・チーズ産業にとって非常に意義深い出来事です。ミルクの質と製造技術が結びついた好事例であり、今後の展開が期待されます。本記事が「食べてみたい」「工房を訪ねてみたい」と思うきっかけになれば幸いです。

ワンポイント: チーズの味は個人差が大きいので、まずは少量を試して、自分の好みの温度や食べ合わせを見つけることをおすすめします。

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(注)当記事は報道記事の要約ではなく、製品の味や楽しみ方、購入・訪問ガイドを中心に独自解説したものです。

この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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