サイレージとサイロの基礎知識|種類別特徴と選び方を詳しく解説

酪農

畜産業において、家畜に与える餌は非常に重要です。特に「サイレージ」は、家畜にとって必要な栄養素を効率よく供給するための優れた方法です。この記事では、サイレージとその保存方法である「サイロ」について、初心者の方でも理解しやすいように説明します。

この記事を読めば、サイレージとサイロの基礎知識をしっかりと学ぶことができます。それでは、サイレージとサイロの重要性について詳しく見ていきましょう。


サイレージとは?

サイレージとは、家畜に与えるために発酵させた飼料のことです。草やトウモロコシ、牧草などを発酵させ、長期間保存できる状態にする方法です。発酵により、飼料の栄養価が高まり、家畜にとって消化しやすい形になります。

例えば、普通の草をそのまま保存しておくと、腐敗が進んで栄養が減ってしまいます。しかし、サイレージは発酵の過程で酸を発生させ、腐敗を防ぎ、栄養が残るようにします。これにより、家畜が1年を通して栄養価の高い餌を安定して摂取できるようになります。

サイレージの主な特徴

  • 栄養価が高い:発酵により、家畜が消化しやすくなり、エネルギーとして効率よく使えます。
  • 保存が可能:サイレージは長期間保存でき、冬の間など草が不足する時期にも利用可能です。
  • 消化吸収が良い:家畜にとって、発酵した飼料は消化がよく、健康的な育成ができます。

サイレージの保存方法:サイロとは?

サイレージを保存するために、非常に重要なのが「サイロ」です。サイロは、サイレージを密閉して保存するための大型容器です。サイロにより、外部からの空気や湿気を遮断することができ、発酵が安定して進みます。適切なサイロを使用することで、サイレージの品質を長期間維持できます。

サイロにはいくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解し、農場に合ったサイロを選ぶことが重要です。

1. タワーサイロ

タワーサイロは、高さがあり、円筒形の容器です。このサイロは、上からサイレージを投入し、下から取り出す仕組みになっています。コンパクトで、スペースが限られている場所にも設置できます

  • メリット:設置が簡単で、スペースを効率的に使えます
  • デメリット:大量のサイレージを保存するには、数台のサイロを設置する必要があります。

2. ロールベールサイレージ

ロールベールサイレージは、サイレージの保存方法の一つで、特に牧草やトウモロコシなどを発酵させて保存するための手法です。通常のサイレージ(サイロを使った保存方法)とは異なり、ロールベールサイレージは、サイレージを大きなロール状に圧縮し、外側をラップで包むという特徴があります。この方法は、特に小規模農場や作業効率を重視する農家に人気があります。

ロールベールサイレージの特徴

  1. 圧縮してラッピング
    • ロールベールサイレージでは、発酵させるために牧草やトウモロコシなどの原料を圧縮して、大きなロール状にします。圧縮した後、そのロールの表面を専用のラップで包んで密封します。これにより、酸素を遮断し、発酵が安定します。
  2. 保存期間の長さ
    • ロールベールサイレージは、適切に保存されていれば数ヶ月から一年以上の間にわたって保存できます。ラップでしっかりと密封されているため、外部の空気や湿気から守られ、腐敗を防ぎます。
  3. 小規模農家に適している
    • ロールベールサイレージは、設備が比較的少なくても手軽に作ることができるため、小規模な農場に適しています。サイロを設置するよりも費用がかからず、作業効率が良いため、限られた予算でも十分に活用できます。

ロールベールサイレージのメリット

  1. 設置が簡単で費用が安い
    • サイロに比べて、ロールベールサイレージは簡単に設置でき、コストが低いです。専用のラップ機や圧縮機があれば、サイレージをすぐに作成することができます。
  2. 保存スペースの柔軟性
    • ロールベールサイレージは場所を取らず、設置した後の保存スペースが比較的自由に使えます。サイロのように専用の場所に固定する必要がないため、土地を有効に活用できます。
  3. 取り出しが簡単
    • ロールベールサイレージは、使用する分だけ取り出して使うことができます。開封したロールは新鮮な状態で取り出せるため、必要な分だけ取り出すことができ、無駄が少なくなります。

ロールベールサイレージのデメリット

  1. 密閉が不完全だと発酵が不安定に
    • ラップでしっかり密封することが非常に重要ですが、密閉が不完全だと発酵が不安定になり、サイレージの品質が低下する可能性があります。また、ラップに穴が開いてしまうと、酸化が進んで腐敗しやすくなります。
  2. 手間がかかる場合がある
    • ロールベールを作る作業は、サイロに比べて手間がかかります。ラッピング作業や運搬などが頻繁に発生するため、大規模な農場では効率的に進めるための機械化が必要です。
  3. 保管場所の確保
    • ロールベールサイレージを保管する場所が必要です。屋外で保管する場合、ラップの劣化を防ぐために、直射日光や雨に当たらない場所を選ぶ必要があります。

3. バンカーサイロ

バンカーサイロは、地下に設置されるトンネル型のサイロです。コストが比較的安く、小規模な農場でよく使われます。

  • メリット:コストが低く、簡単に設置できます。
  • デメリット:地下に設置するため、開放感がないことがあります。

サイロの選び方

サイロを選ぶ際には、農場の規模や設置スペース、予算などを考慮する必要があります。サイロの種類によって保存できる量や取り出し方が異なるため、自分の農場に最適なものを選びましょう。

  • 保存量が多い場合は、バンカーサイロがオススメです。
  • スペースが限られている場合は、タワーサイロが適しています。
  • 予算を抑えたい場合は、ロールベールサイレージが最適です。

まとめ

サイレージは、家畜に栄養を効率よく提供するための優れた飼料で、サイロはその保存に欠かせない設備です。サイレージの発酵によって、家畜が健康的に育つための栄養を安定的に供給でき、サイロの選び方によって保存方法が大きく異なります。

この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

毎日牛乳1L飲んでます!

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