2025年6月10日、岐阜県神戸町の東海牛乳本社工場は製造を一時停止(45日間見込み)しました。これは、2025年5月30日に発生した約230万本の自主回収(「味わいらくのう牛乳」「酪農牛乳」など)に続く追加回収約220万本を受けての措置です。本記事では、初心者にもわかりやすく、東海牛乳の工場停止が北海道の系統外生乳(アウトサイダー生乳)を生産する酪農家に与える影響と、今後考えられる対策をまとめました。

牛は毎日乳を出す。止められないんだよ…

地元の牛乳を選ぶって、ちゃんと意味がある!
1. 東海牛乳の事件概要
- 初回自主回収(5月30日)
- 対象商品:約230万本(「味わいらくのう牛乳」「酪農牛乳」など)
- 苦情内容:「苦みがある」「ヨーグルトのような変化」など約80件
- 健康被害なし
- 追加自主回収&工場停止(6月10日)
- 対象商品:約220万本
- 停止期間:最大45日間見込み
- 原因:低温菌による品質異常が疑われるため

対象となる商品の共通点は以下のとおりです。
- 製造者名に「東海牛乳株式会社」の記載あり
- 賞味期限が2025年5月30日~6月10日の商品
該当商品を見つけた場合は、飲用せず返品対応をお願いします。
2. 北海道系統外生乳(アウトサイダー)とは?
- 系統内流通(プール乳価)との違い
- プール乳価:JA全農乳連を通じ、加工向け生乳と飲用向け生乳割合の基準価格で取引
- 系統外生乳:卸業者や乳業各社と直接契約し、高価格で販売可能
- アウトサイダー生乳のメリット・デメリット
- 北海道の生乳は本州に向けて加工向けに使われることが多い。飲用向けと比べて加工向けの生乳は基準価格が安いのでアウトサイダー生乳の方が買取価格が高い
- プール乳価より高値取引先の品質トラブルリスクが高い
- 流通スーパーなど市販用に直結工場停止時に受け皿がなく廃棄の恐れ
- 安定性自社判断で契約量を調整可能突発的停止に備えた代替ルートが必要

プール乳価では得られない収益も、アウトサイダー生乳には『出荷停止=廃棄』というリスクも!
3. 工場停止が北海道酪農家に与える具体的影響
- 生乳の受け入れ先消失
東海牛乳を通じて日量約120トンを販売していた北海道の約100戸の酪農家は、急遽受け入れ先を失い、廃棄を検討せざるを得ません。 - 経済的損失
例:日量1トンを処分する酪農家の場合、搬送・処理費用に加え、販売価格分の利益を失い、1日あたり数万円の損失が継続。 - 悪循環の深刻化
プール乳価が低迷→収益改善を求めアウトサイダーへ依存→プール乳価が上がらない(市販で販売される牛乳の価格がアウトサイダー牛乳の方が安いため)→工場停止リスクに直面…という負の連鎖が懸念されます。

プール乳価が上がらない→アウトサイダー依存が加速→停止リスク…まさに悪循環!
4. 悪循環を断ち切るための対策
4-1. 受け皿の多様化
- 複数企業との契約
東海牛乳以外の乳業メーカーや地元加工業者と連携し、緊急時の販売先を確保。 - 地域内小規模加工
チーズやバター、粉乳など中間製品化を促進し、液体のまま運ぶコスト・リスクを軽減。

液体で運ぶリスクを減らして、加工品にしておく発想、めっちゃ合理的!
4-2. プール乳価制度の強化
- 量的加算措置の導入
緊急時にプール取引へ流入した生乳量に応じた加算を設け、価格低下の歯止めとする。 - 緊急補償メカニズム
天災や工場停止といった不可抗力時に、JAや乳業団体が一定の補償を行う基金を設置。

プール取引の安定化で酪農経営の安心感アップ!
4-3. トレーサビリティと品質管理の徹底
- サプライチェーンの可視化
各生産者から工場までの温度・衛生管理データを連携プラットフォームで共有。 - 定期的な第三者監査
外部食品安全専門家を招き、製造ライン・受入れ乳質検査を第三者監査でチェック。

トレーサビリティ強化で消費者に信頼される乳製品づくり。
5. 酪農家が今できること
- 代替販売先のリストアップ
地域内外の乳業メーカーやチーズ加工所、直接販売ルート(直売所/通販)を整理。 - 中間製品へのシフト検討
チーズ・バター・ヨーグルトなど加工品の自社ブランド化で付加価値向上。 - JAとの連携強化
プール乳価以外にも、JAの共済制度や緊急支援情報を積極的に活用。

プール乳価以外の支援策もJAと連携して情報収集!
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まとめ
事件の概要:5/30初回回収(230万本)、6/10追加回収(220万本)と工場停止(最大45日)。
影響の本質:北海道のアウトサイダー酪農家は日量約120トンの売り先を失い、生乳廃棄リスクと収益低下に直面。
悪循環の構図:プール乳価が低い→アウトサイダー依存→プール乳価が上がらない→工場停止リスクの連鎖。
解決策:受け皿多様化(複数メーカー・中間加工)、プール乳価制度強化(加算・補償)、品質管理・トレーサビリティ徹底。
酪農家の実践:代替先リスト化、加工品転換、JAや地域連携による緊急支援活用。
東海牛乳の工場停止は、北海道酪農家にとって大きな試練ですが、受け皿の多様化やプール乳価制度の強化、品質管理の徹底を通じて、安定した経営基盤を築くチャンスでもあります。この記事が、問題解決のヒントとなれば幸いです。

東海牛乳の大規模回収と工場停止が北海道酪農家に大きな打撃
プール乳価制度、酪農業界の未来について今一度考えよう!
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