令和7年度「未来につながる持続可能な農業推進コンクール」で、北海道網走郡津別町の津別町有機酪農研究会が農林水産大臣賞(有機農業・環境保全型農業部門)を受賞しました。団体は日本で初めて畜産分野の有機JAS団体認証を取得し、飼料作物438ha・経産牛約300頭規模で循環型の有機酪農を実践しています。本記事では公式資料と地元資料を基に、受賞理由・取り組みの特徴・今後の波及効果をわかりやすく解説します。
1. 受賞の概要:何が評価されたか
農林水産省が主催する「未来につながる持続可能な農業推進コンクール」は、有機農業や環境保全型農業などの優れた取り組みを表彰する制度です。令和7年度の有機農業・環境保全型農業部門で、北海道網走郡津別町の津別町有機酪農研究会が農林水産大臣賞に選ばれました(最上位)。受賞理由は、有機JASによる団体認証取得・飼料の自給化・地域循環型の仕組みづくりなど、実践的な持続可能性が高く評価されたためです。

2. 津別町有機酪農研究会の具体的取り組み(データで見る)
公式資料に基づく主要データ(応募時点・概要):
| 項目 | 数値/概要 |
|---|---|
| 対象面積(飼料作物) | 約438 ha(飼料生産を中心に有機栽培を実施) |
| 飼養頭数(経産牛) | 約300頭 |
| 構成員 | 5戸(有機生産のコアとなる酪農家群) |
| 取得歴 | 平成18年(2006年)に有機畜産のJAS認証(団体)を取得し、有機牛乳の販売を開始 |
出典:農林水産省 受賞者概要(津別町有機酪農研究会受賞PDF)。詳細はMAFFの受賞PDFを参照。
3. 技術的に注目すべきポイント(専門的分析)
3-1 飼料自給と草地中心の飼養体系
津別では大規模な飼料作物生産(約438ha)を有機栽培で行い、外部の輸入飼料や化学肥料への依存を抑えることで、資源循環とコスト低減を両立しています。飼料自給は品質安定やトレーサビリティの確保に直結するため、有機認証と相性がよく、製品差別化(オーガニック牛乳)にも寄与します。
3-2 動物用医薬品の管理と飼養管理の高度化
有機畜産の基本は動物用医薬品を極力避けることにありますが、完全排除は現実的ではありません。津別の取り組みは土壌診断に基づく土づくりと、細やかな飼養管理(健康管理・栄養管理・分娩管理)により、病気発生率を低く保ちながら必要最小限の使用に留める運用が特徴です。これによりアニマルウェルフェアを損なわずに有機基準を維持しています。
3-3 地域連携と循環ループの構築
JAつべつ、網走農業改良普及センター、地元漁協など多様な主体と協働している点が大きな強みです。餌の生産→飼養→堆肥化→圃場還元というループを地域内で完結させることで、化学肥料・廃棄物削減・水質保全にも貢献しています。地域全体で制度的支援や販路形成(明治などとの連携)を得ていることも普及力の源です。
4. 普及の課題と現実的な解決アプローチ
有機酪農は魅力的である一方、以下の課題が普及のボトルネックになります。各課題に対する現実的な対処法を示します。
課題A:初期投資と労力(草地管理・飼料生産の労働負担)
対策:共同利用の農機・契約栽培や、地域での作業分担体制と補助金活用。JAや普及センターと連携して集合的な設備投資を行う。
課題B:市場と価格(有機牛乳の販路・プレミアム維持)
対策:ブランド化(地域+企業連携)と消費者向け情報発信(生産背景の可視化)。BtoBでの安定取引(乳業メーカーとの長期契約)を基本とする。明治との連携事例は参考になります。
課題C:人材・技術継承
対策:実践型研修、若手就農支援、体験農場の運営で現場力を継承。津別のモデルはマニュアル化・共有による新規参入支援を進めています。
5. 結論と今後の展望
津別町有機酪農研究会の受賞は、単一経営の成功ではなく「地域が一体となって制度・技術・販路を整えた」点に主眼があります。飼料自給・動物福祉と環境保全の両立、地域連携による普及力は、他地域でも取り入れ可能な汎用的なモデルです。今後は、規模の異なる経営への適用方法や、気候変動下での飼料生産リスク管理の具体策が議論の中心になるでしょう。
6. よくある質問(FAQ)
Q1: 津別町の取り組みはどのくらいの規模ですか?
A1: 公式資料では飼料作物が約438ha、経産牛は約300頭、構成員は5戸となっています(受賞PDFより)。
Q2: 「有機JAS団体認証」とは何ですか?
A2: 個別農場の認証だけでなく、複数の生産者が団体として基準を満たす仕組みです。団体での適合管理が求められ、地域ぐるみの有機生産に適合します。津別の実例は国内でも先行事例です。
Q3: 有機牛乳の販売先は? どこで買える?
A3: 地元JAを通じた産直や、乳業メーカー(例:明治のオーガニック商品)との取引実績があります。地域ブランドと企業連携が鍵です。
まとめ
結論:
津別町有機酪農研究会の受賞は、有機酪農の実務的成功(生産・循環・地域連携)を示すモデルケースであり、全国展開のヒントになる。
根拠(要点):
- MAFF公式が農林水産大臣賞として受賞を公表(一次情報)。
- 研究会は飼料作物438ha・経産牛約300頭など具体的データを持ち、技術と規模で持続可能性を示している。
- 地域団体(JAつべつ等)と協力し、普及・支援体制を構築している点が波及力の要。
主要出典:農林水産省 令和7年度「未来につながる持続可能な農業推進コンクール」受賞者ページ・受賞PDF、JAつべつの資料等。詳細:農林水産省受賞ページおよび受賞PDFを参照。
編集後記
有機酪農は単なる「化学物質不使用」の問題ではなく、土づくり・飼料計画・健康管理・地域経済の設計がセットで成功する分野です。津別の事例は“農業のシステム化”がもたらす持続可能性を示す良い教材になります。現場を知る者として、今後は気候変動リスクや若手参入支援の具体策が重要だと考えます。
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