2025年末から2026年年始にかけて、都府県を中心に生乳の需給は大きく緩和しました。農水省のコア期間(12月20日〜1月8日)に実施された1kgあたり40円の緊急支援と、乳業メーカー・指定団体・全国連の連携によって、廃棄はギリギリで回避されました。本記事では一次資料と現場の視点を交え、原因・対応策・今後のリスクを分かりやすく図解します。
要点
- 構造的要因:学校給食停止や年末の文化的消費減で需要が急落しやすい。
- 対応の要点:農水省支援(40円/1kg)+乳業のフル稼働、全乳哺育等で余乳を吸収。
- 次の注意点:春(4–5月)の生産ピークが次の正念場。今から準備を。
現状の整理:何が起き、どう回避したか
2025年末〜2026年年始、都府県(北海道除く)で生乳の需給が大幅に緩和しました。現場では乳製品工場のフル稼働、タンク容量の最大化、調整仕向(例:子牛への全乳哺育)を組み合わせ、最終的に生乳廃棄をギリギリで回避しています。北海道も同様に余乳処理をクリアしましたが、需給緩和の基調自体は継続中です。
なぜ年末年始に需給が緩和するのか(背景)
1. 学校給食の停止(需要の20%相当)
学校給食は飲用牛乳の大きな需要先で、年末年始の長期休業で一時的に需要が消えます。短期間で大きな需要減が発生するため、需給バランスが崩れやすくなります。
2. 正月文化による家庭消費の減少
お正月はおせち中心の食文化で、牛乳消費が落ちる傾向があります。特に市街地・都市部ではこの影響が顕著です。
3. 冬場の牛の乳量が安定または増える
夏の暑熱ストレスがなくなり、採食が安定することで乳量が落ちにくくなります。つまり「需要が落ちる一方、生産は下げにくい」構造が生まれます。
農水省支援と業界対応(実務面)
農水省の緊急支援(コア期間:12/20〜1/8):非飲用仕向け(全乳哺育等)に対し1kgあたり40円の奨励金が交付され、廃棄回避に大きく貢献しました。
業界が取った主要対策
- 乳製品工場の生産ラインを最大限稼働させ、加工で受け皿を作る。
- 地域間でのタンク調整と輸送計画を再編し、タンク容量を効率化。
- 子牛への全乳哺育などで生乳の用途を柔軟に切り替え。
- 情報共有体制を強化し、需給の変化に迅速に対応。

実務ヒント:全乳哺育を増やす際は、子牛の健康管理(消化負担や投与量)を現場で慎重に管理する必要があります。単に供給先を変えれば良いわけではありません。
現場の視点:牛の健康と作業負担
余乳処理のための仕向け変更は、酪農家の作業負担と牛の健康に直接影響します。例えば全乳哺育の増加は子牛の下痢リスク管理や哺乳器具の衛生管理が重要になりますし、工場フル稼働は集乳スケジュールの変更を伴います。現場目線での調整無しに量だけを動かすと「別の問題」を生むリスクがあります。
現場で押さえるべき3ポイント
- 子牛の哺乳量・頻度を獣医と調整すること。
- タンク増設や巡回輸送のコストとメリットを試算すること。
- 労働力配分(年末年始の人員確保)を前もって組むこと。
今後のリスクと準備(春が次の正念場)
多くの関係者が指摘する通り、次に注意が必要なのは4〜5月の生産ピークです。繁殖・搾乳サイクルの影響で乳量が増える時期で、需給調整が間に合わない可能性があります。今から次の項目を準備しましょう。
推奨アクション(業界・事業者向け)
- 春の需給予測を地域別にアップデートする。
- タンク容量、加工の受け皿、調整仕向けの確保計画を作る。
- 消費喚起キャンペーン(地域・企業連携)を準備する。
消費者・一般読者にできること
日常的に牛乳・乳製品を選ぶ習慣が、酪農の安定に直結します。以下はすぐできる支援行動です。
- 朝食に牛乳を一杯プラスする。
- 地元の乳製品(ヨーグルト・チーズ等)を選ぶ。
- SNSで「#牛乳でスマイルプロジェクト」などを使って拡散する。
まとめ
- 年末年始は学校給食停止・文化的要因・冬の乳量増加で需給が緩和しやすい。
- 農水省の1kgあたり40円支援(12/20〜1/8)が廃棄回避に重要な役割を果たした。
- 乳製品工場のフル稼働・タンク活用・全乳哺育など業界の総合力で乗り切った。
- 次の正念場は春(4–5月の生産ピーク)。今から消費喚起と需給対策が必要。
酪農は生き物と向き合う仕事です。数値や政策だけでなく、牛と現場の声を大切にしながら、廃棄ゼロと持続可能な生産を目指す必要があります。読者の皆さんが今日できる小さな行動が、次の危機を防ぐ力になります。
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