子牛の下痢で最も危険なのは「脱水」と「電解質バランスの崩れ」。サラーロンはフジタ製薬が製造する子牛用の経口補液剤で、現場での迅速な補液処置に用いられます。本記事では用法・実践手順・重症時の判断・類似製品との比較を酪農の実務目線で解説します。
まず押さえるべきポイント(結論)
- 用途:子牛の下痢に伴う脱水症状の改善と電解質補給。
- 用法の目安:本剤80gを2Lの微温湯に溶解し、1日2回を1~3日間経口投与(製品添付指示に従う)。
- 注意:立てない、反応がない、呼吸困難など重症例は静脈輸液や獣医処置が必要。
- 現場での工夫:保温・休養・乳の与え方の調整と併用すると効果的。
サラーロンとは(製品概要)
サラーロンは動物用医薬品として承認されている、子牛向けの経口補液剤です。主たる目的は水分保持・ナトリウム・カリウム等の電解質バランスの回復、そしてエネルギー源(ブドウ糖等)による補助的な栄養供給です。獣医療の現場でも広く用いられており、軽度〜中等度の脱水管理に向きます。

効果と作用メカニズム(現場で知っておくべきこと)
下痢の際、体から失われるのは単なる“水”だけではなく、電解質(主にナトリウム、カリウム、塩素)とそれに伴う浸透圧の変化です。サラーロンはこれらを同時に補給することで以下の改善を目指します。
- 循環血液量の維持→末梢循環と臓器血流の改善
- 電解質バランス回復→筋収縮や神経伝達の正常化
- ブドウ糖による即時のエネルギー供給→食欲回復の支援
現場での実践ガイド(ステップごと)
1. 初期評価(必須)
- 姿勢・意識(活気の有無)を確認する
- 皮膚の弾力(皮膚回復時間)、眼窩の陥没、口腔粘膜の湿りをチェックして脱水度を評価
- 体温・呼吸数・心拍を記録
2. 軽度〜中等度の脱水:経口補液の実施
- 製品の用法に従い、本剤80gを2Lの微温湯(温度は子牛が飲みやすい程度:およそ体温〜少し低め)に溶かす。
- 1回の投与量は個体差があるが、目安として1頭あたりの容量を守り、1日2回、1〜3日間を基本とする。
- 哺乳器を用いる場合は誤嚥に注意し、少量ずつ確実に飲ませる。
3. 並行して行うこと
- 保温:特に冬季や低体温が疑われる場合は速やかに保温(ヒーター・保温箱)
- 乳の与え方の調整:下痢の原因や程度に応じて授乳回数・量を調整
- 衛生管理:感染性の原因が疑われる場合は隔離・環境消毒を行う
4. 重症例の見分け方(獣医へ連絡)
- 起立不能、ぐったりしている、口唇蒼白または粘膜が乾いている
- 重度の呼吸困難、頻脈や徐脈、痙攣など神経症状
- 経口補液を飲めない、または改善が見られない場合
注意:このような症状がある場合、静脈輸液や血液検査等が必要です。速やかに獣医師に連絡してください。
経口補液剤の比較(現場での使い分け目安)
| 製品 | 特性(現場での使い分け) |
|---|---|
| サラーロン | 電解質+ブドウ糖補給。アシドーシス改善を考慮した組成で、軽〜中等度の下痢管理に向く。 |
| カーフライトS | 標準的な電解質補給剤。軽度の下痢や日常の補液管理に適する。 |
| エレクトロプラスA | 嗜好性が高く、飲ませやすい。飲ませ方に不安がある場合に有利。 |
| カーフナーサー | 栄養強化寄り。栄養回復が主目的の長期管理向け。 |
選択は「子牛の状態(脱水度・意欲)」「現場での飲ませやすさ」「必要な栄養補助」などを総合して行ってください。

現場Q&A(よくある疑問)
Q1. 何日くらいで効果が出ますか?
軽度〜中等度であれば、経口補液を開始して24〜72時間のうちに改善傾向が見られることが多いです。ただし個体差があるため、改善が見られない場合は獣医師へ相談してください。
Q2. 授乳は止めた方がいいですか?
下痢の原因や程度によって対応が変わります。軽度の場合は授乳を継続しながら補液を行う場合もあります。消化負荷が懸念される場合は授乳方法・量の調整を行ってください。獣医師の指示に従うことが安全です。
Q3. 自宅でストックしておくべきですか?
常備しておくと緊急時に迅速対応できます。ただし、保管は直射日光や高温多湿を避け、品質保持期限を確認してください。
記事のまとめ
- サラーロンは子牛の下痢時に用いる経口補液剤で、脱水と電解質異常の改善を目的とする。
- 用法の目安は80gを2Lの微温湯に溶解、1日2回を基本とするが、個体差や症状に合わせて調整する。
- 重症例(起立不能・反応消失等)は静脈輸液などの獣医的処置が必要。早めの判断と連絡が重要。
- 他製品との使い分けや保温・授乳調整など、現場での総合的な管理が回復を左右する。
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