ベリノール末は、収れん作用のあるタンニン酸ベルベリンと整腸乳酸菌を配合した、子牛の単純性下痢や食欲不振に広く使われる総合胃腸薬です。この記事では、メーカーの添付文書に基づく公式の用量・成分を示しつつ、現場で多用される「ベリ末団子」の作り方や実践的な投与例、他薬との使い分けまでを獣医・酪農者視点でわかりやすくまとめます。
ベリノール末Aの主成分と作用機序
主な成分(100gあたり)
- タンニン酸ベルベリン:2g — 収れん(被覆)作用で腸粘膜を保護、止瀉・消臭効果。
- ラクトミン(乳酸菌):1.5g — 整腸作用(フェーカリス菌群を含む)。
- 延命草末、ゲンノショウコ末:各12g — 生薬による胃腸機能サポート。
作用のポイント
主成分のタンニン酸ベルベリンは炎症部位を覆って刺激を抑え、腐敗性・悪臭を伴う下痢の改善に役立ちます。乳酸菌と生薬の組合わせで腸内環境を整え、食欲不振や消化器衰弱の回復を支援します。ただし、これらは軽度〜中等度の単純性下痢に対する“補助的”な薬理であり、感染性の疑いがある場合は別途検査と治療が必要です。

公式の用法・用量(メーカー情報に基づく)
1回量を1日1〜3回、経口投与します(メーカー添付文書準拠)。
| 体重 | 1回投与量 |
|---|---|
| 300kg以上 | 50〜150g |
| 100〜300kg | 25〜75g |
| 100kg以下(子牛) | 12.5〜37.5g |
子牛は体重変動が大きいため、少量から開始して様子を見ながら増減してください。ミルク中のタンパク質と反応し効果が落ちる可能性があるため、ミルクとは別タイミング(食間やミルク前)での投与が望ましいです。

現場で多い使い方:ベリ末団子(実践手順)
目的
粉末を水で練って「団子」にすることで、確実に投与量を与えやすく、誤嚥やこぼれを減らす目的です。子牛が拒否しにくい投与法として広く用いられています。
作り方(標準手順・現場例)
- 清潔な器にベリノール末Aの所定量を取り出す(子牛:12.5〜37.5g目安)。
- 少量のぬるま湯(50〜100ml程度)を加え、粘りが出るまでよく練る。
- 一口大(子牛の飲み込みやすいサイズ)に丸め、速やかに与える。
- 投与後の飲水・食欲回復を観察。翌日も継続して効果を評価する。
団子作成時は清潔を保ち、作り置きは避けてください。薬効の変質や二次汚染を防ぐため、必要分だけを都度作ることが重要です。
使用上の注意と禁忌・併用時の留意点
- 獣医師の指示に従うこと。自己判断で重症例にのみ投与するのは危険。
- 抗菌剤とは原則同時投与を避ける(効果の干渉や診断判断の遅れを招くため)。
- 感染性下痢や重度の脱水が疑われる場合は、速やかに獣医の診察を受けること。
- 保管は直射日光・高温多湿を避け、室温で保存。
他薬との比較(簡易)
| 薬剤 | 得意分野 | 現場での位置づけ |
|---|---|---|
| ベリノール末A | 収れん+整腸(軽度〜中等度) | 抗菌剤使用前の補助選択肢 |
| ビオスリー等(整腸剤) | 腸内環境改善(乳酸菌等) | 長期的な整腸ケア向け |
| 止瀉薬(対症療法) | 一時的な止瀉 | 症状コントロール目的 |
比較表はあくまで一般的なガイドです。個別症例ごとの選択は獣医師と相談してください。
臨床的な判断フロー(現場での簡易チェック)
- まず観察:下痢の性状(粘液・血液の有無、悪臭、発熱)を確認。
- 軽度〜単純性下痢(軟便・悪臭あり、食欲はある程度維持)→ ベリノール末A等の補助療法検討。
- 血便・高熱・重度の脱水やぐったりがある場合→ 直ちに獣医診察・検査・必要時は輸液や抗菌剤治療。
よくある質問(FAQ)
Q. ミルクと混ぜて投与してよいですか?
A. ミルク中のタンパク質と反応し効果が低下する可能性があるため、ミルクとは別タイミングでの投与を推奨します。
Q. 団子は毎日与えていいですか?
A. 用法・用量の範囲で獣医師の指示があれば継続投与は可能ですが、症状が改善しない場合は診察を受けてください。
Q. 食用牛でも使えますか?
A. 添付文書上は使用可能な規定がある場合が多いですが、休薬期間の確認や出荷規制は各種規定に従ってください。獣医に確認してください。
実務者への短期アクションプラン(3ステップ)
- 添付文書に基づく用量表を現場掲示にしてスタッフ全員に周知。
- 軽症例に対しては団子給与で試し、24〜48時間での改善有無を評価。
- 改善しない・悪化する場合は速やかに獣医師に連絡し、検査・治療方針を決定。
記事のまとめ
- ベリノール末Aはタンニン酸ベルベリン(収れん)+乳酸菌を含む総合胃腸薬で、単純性下痢や消化器衰弱に適応。
- 子牛では体重に応じた公式用量を守り、ミルクとは別タイミングでの投与(団子給与が現場で有効)。
- 抗菌剤は感染性下痢が疑われる場合に限定し、まずは獣医師の診断を優先すること。
参考・出典
本記事はメーカーの添付文書および動物用医薬品データベース等の公的情報、ならびに現場実務の知見をもとに作成しています。具体的な出典や添付文書は記事下のリンク(内部用・参考資料)をご参照ください。
不安な症例は自己判断せず獣医師に相談を。現場での安全管理が最優先です。
※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告が含まれる場合があります。
© 2026 らくする|酪農専門メディア.



コメント