ブリ・ド・ムラン(Brie de Melun)とは?歴史・製法・味わい・食べ方を徹底解説

フランス伝統チーズ ブリ・ド・ムラン Brie de Melun 乳製品
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ブリ・ド・ムラン(Brie de Melun)は、フランス・イル=ド=フランス地方で生まれた伝統的な白カビチーズです。歴史は古く、シャルルマーニュ大帝にも愛された逸品とされ、現在もAOP認定の厳格な基準で作られています。強い塩味と複雑な風味が特徴で、同じブリチーズである「ブリ・ド・モー」とは一味違う個性を持ちます。本記事では、その歴史や製法、味わいの特徴、食べ方やペアリングまで詳しく解説します。

1. ブリ・ド・ムランとは(概要)

ブリ・ド・ムラン(Brie de Melun)は、フランス・イル=ド=フランス地方セーヌ=エ=マルヌ県のムラン周辺で作られる伝統的な白カビチーズです。AOP(保護原産地呼称)により生産地域・製法が定められており、世界的にも「本物のブリ」として認知されています。クリーミーなペーストに、塩味と野性的な香りが特徴で、通好みの個性派ブリとして知られます。

原産国フランス(イル=ド=フランス地方)
認証AOP(保護原産地呼称)
種類白カビ(Penicillium camemberti系)
主原料生乳(牛乳)
典型重量約1.5〜1.8kg(直径約27cm)
白かびチーズと青かびチーズが並ぶ海外のチーズ売り場
カマンベールやブルーチーズが並ぶ海外のチーズ売り場

2. 歴史と原産地

ブリ地方は古くからチーズ生産が盛んで、ブリ・ド・ムランの起源は中世以前とされます。伝説的にはシャルルマーニュ大帝の時代(8世紀)にまで遡る記録が残り、宮廷に納められていたという逸話もあります。1980年にAOC(当時)、のちにAOPとして認定され、伝統的な生産域と製法が国際的に保護されています。

生産地はセーヌ=エ=マルヌを中心に、近隣の限定エリアのみで許可されています。そのため生産量は多くなく、入手はやや希少です。

3. 生産方法(製法のポイント)

ブリ・ド・ムランの特徴的な製法は「乳酸発酵を重視したゆっくりした凝固」にあります。主な工程は以下の通りです。

  1. 生乳の使用 — AOP規格に従い、生乳(未殺菌乳)を使用する場合が多く、乳の個性が味に反映されます。
  2. ゆっくりとした凝固 — 18時間前後かけて乳を凝固させる工程を取り入れることがあり、これにより酸味や複雑な香りが生まれます(Brie de Meauxと比較してゆっくり凝固させる点が特徴)。
  3. 成形と排水 — カードを型に入れ、自然に排水。直径約27cm、厚さ3〜4cmほどの円盤状に成形します。
  4. 塩漬けとカビ付け — 表面に塩を行き渡らせ、Penicillium系の白カビを付着させます。
  5. 熟成 — 4~8週間(場合によってはそれ以上)熟成。熟成が進むと外皮に茶褐色の斑点が現れ、風味が強くなります。非常に長期熟成したものは「Brie Noir(黒いブリ)」と呼ばれることもあります。

これらの工程により、ブリ・ド・ムランは「クリーミーさ」と「塩味・野性味」が調和した複雑な味わいになります。

チーズの熟成過程
熟成中のチーズ

4. 味わい・食感の特徴

外観:白いカビの外皮に赤褐色の斑点が混ざり、内部は柔らかい黄金色〜クリーム色。

香り:熟成が浅いうちはフルーティーで乳酸由来の甘酸っぱさがあり、熟成が進むときのこやアーシーな香り、さらにはアンモニア香が出ることもあります。

味わい:塩味がやや強めでナッツのようなコク、クリーミーな口当たり。ブリ・ド・モーに比べると「力強く野性的」と評されることが多いです。

食感:外側のペリフェリーがしっかりし、中心に向けてとろけるように柔らかくなります。好みに合わせて熟成度合いを選ぶと良いでしょう。

5. ブリ・ド・ムラン と ブリ・ド・モー の違い

  • サイズ:ムランは直径約27cmでモーは36〜37cmとモーの方が大きい。
  • 製法:ムランは乳酸発酵を重視してゆっくり凝固させることがあり、モーはレンネットを使った工程が主体で比較的早く作られることが多い。
  • 味わい:ムランは塩味と野性味が強い一方、モーはより丸くマイルドな風味。
  • 入手性:どちらもAOPだが生産量や流通の差で地域によって入手のしやすさが変わる。

6. おすすめの食べ方・ペアリング・レシピ

食べる前の準備

  • 食べる約30分前に冷蔵庫から出して常温に戻す(風味が立ちます)。
  • ナイフは室温に近いものを使うと切りやすい。
  • 外皮は食べられます。外皮の風味が苦手な場合は薄く剥いでもOK。

シンプルな楽しみ方

  • バゲットや田舎パンにそのままのせる
  • 洋梨やブドウ、イチジクなどの果物と合わせる
  • 蜂蜜やナッツ(クルミ、アーモンド)を添えて甘塩の対比を楽しむ

料理で使う

  • オーブンで焼いてとろけさせる(〈Croûte au Brie〉風)— パーティーの一品に最適
  • 薄くスライスしてサラダやサンドイッチにトッピング
  • 温かいジャム(ベリー系)と合わせると塩味が引き立つ

飲み物の相性(ペアリング)

  • 赤ワイン:軽め〜中程度のボディ(ブルゴーニュ、ローヌの軽めの赤、Gaillac など)
  • 白ワイン:やや酸のある白(シャルドネや少し樽香のあるもの)
  • ビール:ペールエールやウィートビールなど
  • ノンアル:ブラックティーやりんごジュース(発酵由来の酸味と合う)

7. 購入ガイド・保存方法

購入先の目安(日本)

日本では専門のチーズショップや輸入食材店での取り扱いが中心です。価格の目安は100gあたり1,000〜2,000円程度(種類・熟成度による)。オンライン販売(専門店のECや大手通販サイト)でも見つかることがあります。※在庫や入荷は時期により変動します。

保存方法

  1. 冷蔵庫のチルド室など低温で保存(目安: 4℃前後)
  2. ラップを直接巻くのは避け、チーズペーパーやパーチメント紙、または通気性のある容器で保存すると風味が落ちにくい
  3. 長期保存は向かない(熟成が進みすぎるとアンモニア臭が強くなる)
  4. 食べる30分前には常温に戻して香りを開かせる

8. よくある質問(FAQ)

Q1: 外皮は食べられますか?

A: はい。白カビの外皮は食べられます。カビの風味が苦手な方は薄く剥いで食べても問題ありません。

Q2: Brie de Melun はどのくらい熟成させますか?

A: 一般的には4〜8週間が多いですが、熟成期間が長いものほど風味が強くなります。熟成度によって好みが分かれるため、浅熟〜熟成の幅を試すのがおすすめです。

Q3: Brie de Meaux とどちらが良いですか?

A: 好み次第です。Melunは力強い塩味・野性味が特徴、Meauxはよりマイルドでクリーミー。食べ比べるとブリの多様性が楽しめます。

9. まとめ — ブリ・ド・ムランでチーズの深みを知る

ブリ・ド・ムランは、長い歴史と厳格なAOP規格に守られたフランスの伝統的チーズです。ゆっくりした乳酸発酵や独特の熟成プロセスにより、塩味と野性味が特徴的な味わいを持ちます。同じブリ仲間のBrie de Meauxと比べてより力強く、通好みの存在。是非、常温に戻してからパンや果物、ワインと一緒に楽しんでみてください。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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