滋賀・牧場サイロ事故(2025/8/26)|墜落防止措置未実施で経営者を書類送検

滋賀県牧場サイロ事故のイメージ|墜落防止措置未実施による労災と書類送検の解説画像 酪農
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2025年8月26日、滋賀県高島市今津町の牧場で飼料をシートで覆う作業中に従業員が転落し、数日後に死亡するという労働災害が発生しました。大津労働基準監督署は事業主(牧場経営者・57歳)を労働安全衛生法違反の疑いで書類送検しています。事故のポイントは「高さ2.6メートルまで積まれた飼料上での作業に対し、墜落防止措置が講じられていなかった」点にあります。本記事では事故の事実関係と関連法令を整理し、事業者が現場で直ちに実行できる墜落防止の具体策を専門家の視点で提示します。

事実関係(要点)

– 発生:2025年8月26日、滋賀県高島市今津町の牧場で発生。
– 被災者:当該作業を行っていた74歳の従業員が落下し、頭部外傷等により数日後に死亡。:
– 容疑:事業主が高さ2mを超える作業に必要な墜落防止措置(安全帯、手すり、防網など)を講じなかった疑いで送検。

法的根拠:事業者に求められる義務

高さ2メートル以上の作業に関しては、労働安全衛生規則が具体的な措置を定めています。作業床を設置できない場合は防網(ネット)や安全帯の使用などで墜落を防止する措置が義務付けられており、これを怠ると行政処分や刑事罰の対象となり得ます。

背景として押さえておくべき点(専門家の視点)

1) 農業分野は高齢労働者が多い──年齢に伴う筋力・瞬発力の低下は転落リスクを高めます。今回の被災者が74歳であった点は、作業割り当てや安全配慮の面で重要なファクターです。

2) サイロ作業は「埋没/崩落」と「墜落」が混在する高リスク領域──内部の堆積の不安定さ、上部での歩行・作業、粉体の流動特性など、複合的な危険が存在します。過去にも埋没による死亡事故や送検事例が報告されています。

類似事例から学ぶ(再発防止の教訓)

過去の送検事例や公表事案を見ると、共通しているのは「手順・役割分担」「適切な装備」「監視・連絡体制」の欠如です。特に単独作業は致命的なリスクを生みます。

現場で今すぐ実行できる安全チェックリスト(事業者向け)

  • 1)作業を計画(作業計画書)に落とす:危険要因・必要保護具・監視者を明記。
  • 2)単独作業禁止ルールの徹底:常に監視者または連絡手段を確保。
  • 3)高さ2m以上の作業は安全帯(墜落制止用器具)または防網を必ず設置。取付設備の整備を確認。
  • 4)歩行可能な「作業床」が確保できない場合は、長尺工具や外部からの作業で人が上部に立たない代替方法を検討。
  • 5)高齢者や体力に不安のある労働者には作業割り振りの見直し(上部作業は原則非担当)。
  • 6)定期点検と教育:安全帯のフック位置や取付強度の確認、墜落訓練の実施。
  • 7)事故発生時の初動手順(救急連絡、現場保存、労基署への報告)を明文化。

なぜ「単独作業禁止」が効くのか

サイロや堆積物の作業は突然の崩れや滑落が起きやすく、近接する人間の介入で助命の可能性が大きく変わります。監視者は単に「見守る」だけでなく、異常時の即時救助や119への通報を担う重要な役割があります。

事業主が取るべき予防措置(段取り表)

  1. リスクアセスメント(現場点検)→書面化
  2. 代替手段の検討(道具・機械で人が上に乗らない方法)
  3. 保護具の標準化(安全帯の種類、検査周期)
  4. 教育・訓練(年1回以上の実地訓練推奨)
  5. 点検記録の保管(労基署調査時の重要資料)

法的・行政対応のポイント(送検を受けた場合)

労働基準監督署の調査に対しては、現場改善の記録(点検表・教育記録・写真)を速やかに提示できるかが重要です。改善の事実を示せば行政処分や起訴の随伴影響を軽減する余地があるため、日常からの記録保全が有効です。公表事案には類似のケースも含まれており、行政は再発防止を重視します。

まとめ:現場の「当たり前」をもう一度点検する

  • 事故概要:2025/8/26、滋賀県高島市の牧場でサイロ上の作業中に従業員が転落、後に死亡。事業主が書類送検。
  • 法的ポイント:高さ2m以上の作業には墜落防止措置(安全帯、防網、手すり等)が義務。未実施は行政・刑事処分の対象。
  • 主な原因仮説:単独作業、堆積物の不安定さ、作業計画と装備の不備が重なった可能性が高い。
  • 今すぐ実行すべき対策:単独作業禁止、作業計画書の作成、安全帯・防網の設置、代替手段(長尺工具等)の検討、 高齢者の作業割り振り見直し、点検・教育・記録の徹底。
  • 事業者への助言:点検記録と教育履歴を整備しておくことが、労基署対応や行政処分の評価に直結する。

今回の送検事案は、法令違反の可能性とともに「現場の安全配慮」が欠けていたことを明確に示しています。特に高齢労働者が多い農業分野では、作業設計と人員配置の見直し、安全装備の徹底、単独作業禁止といった基本対策が、命を守るうえで最もコスト対効果の高い施策です。事業者は今回の事例を機に、自社の作業手順を点検し、具体的なチェックリストと記録保存の体制を整えてください。

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参考(法令・統計・公表事案): 労働安全衛生規則(第518・519条)/厚生労働省 労働災害発生状況報告/労働基準関係法令違反に係る公表事案(各労働局)。これらは対策立案の一次情報として参照してください。

※注:この記事は公開情報(報道・公表事案・公的統計)を基に専門家の視点で整理・解説したものであり、個別の法的判断や訴訟対応については労働法に詳しい弁護士等の助言を受けてください。

出典(主な参照):京都新聞等の報道、厚生労働省の労働安全衛生規則・労働災害統計、労働基準監督署の公表事案。各出典は本文中に示しました。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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