農業倒産103件で過去最多|酪農・花き・肉用牛への影響と現場でできる対策

農業倒産103件で過去最多、酪農・花き・肉用牛に広がる経営危機とコスト高騰の影響 酪農NEWS
2025年の農業倒産が過去最多に。酪農・花き・肉用牛経営を直撃する現状
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2025年、国内の「農業」倒産は103件に達し、1996年以降で過去最多を記録しました(東京商工リサーチ調べ)。特に酪農・花き・肉用牛生産で倒産が相次ぎ、負債総額は402億8,000万円と前年の約2倍に膨らんでいます。この記事ではTSRの最新データをもとに、倒産増加の背景を分かりやすく整理するとともに、酪農経営者が今すぐ取れる実務的な対策と利用可能な支援制度を具体的に紹介します。

主要データと現状のポイント

指標内容(2025年)
倒産件数103件(前年比18.3%増)
負債総額約402億8,000万円(前年比109.1%増)
注目点施設野菜などの大型倒産((株)サラの負債157億6,700万円が影響)。人手不足倒産は14件、うち後継者難7件。

出典:東京商工リサーチ(TSR)。最新の年次レポートを参照してください。

倒産増加の主な原因

  1. 飼料・資材・エネルギー価格の高騰
    根拠:円安や国際情勢によるコスト上昇でコスト負担が増大。 行動:直ちに費用項目ごとの見直しと代替飼料の試算を行う(下記参照)。
  2. 人手不足と後継者難
    根拠:倒産データで人手不足関連の増加が顕著(人手不足倒産は14件)。 行動:作業効率化、省力化機器の導入、業務委託・協業の可能性を検討する。
  3. 資金繰りの悪化(短期資金不足)
    根拠:負債総額の急増と小規模事業者の脆弱性。 行動:公的支援・低利資金の早期相談(農林漁業セーフティネット資金など)を実行。

酪農・畜産現場への影響(実務での具体例)

酪農現場では給飼コストが収益を圧迫し、乳価の即時反映が困難なため、現金流が急速に悪化します。肉用牛の肥育でも飼料代上昇により採算が悪化し、出荷タイミングや肥育方針の見直しを迫られることがあります。現場の優先順位は「餌のコスト最適化」「短期的な資金確保」「人的負担の軽減」です。

Concentrate feed for beef cattle to improve weight gain and feed efficiency
肉牛の増体に使われる高栄養な濃厚飼料

現場ですぐできる短期対策(資金・運転)

1) まずやること(72時間以内)

  • 現金残高・運転資金の正確な把握(週単位のキャッシュフロー作成)
  • 主要支払い(飼料・稟議中の借入等)の優先順位づけ
  • JA・日本政策金融公庫(JFC)へ相談予約(農林漁業セーフティネット資金など)を取る。

2) コスト削減の具体案(今月〜3ヶ月)

  • 飼料の配合見直し(代替原料の試算と現場でのテスト)
  • 外注化できる作業(堆肥運搬、給餌)を洗い出し、1件ずつ費用対効果を算出
  • 燃料・電力の契約見直し・集荷ルートの効率化

資金面の最短ルート:農林漁業セーフティネット資金や物価高緩和のための特例融資は条件によって低利で借入可能です。まずは最寄りのJA・日本政策金融公庫に相談を。

中長期で取り組むべき施策(6ヶ月〜3年)

  1. 省力化・自動化投資:労働コスト削減と高齢化対応(補助金活用を含む)。
  2. 販路多様化・付加価値化:直販・加工品・地域ブランド化で価格転嫁の幅を作る。
  3. 事業承継計画の早期策定:後継者不在リスクに対する法人化や事業承継スキームの検討。

現場チェックリスト(今すぐ使える10項目)

  1. 直近3か月の現金残高と支払予定を表で作成
  2. 主要支払い(飼料・飼料代前払・融資返済)を期日順に並べる
  3. 飼料・資材の購買先と単価をリスト化し代替案を3案用意
  4. 省力化可能な作業を洗い出し、優先度を付ける
  5. JA/JFCに相談予約を入れる(相談履歴を記録)
  6. 販路(直販・加工・卸)別の粗利計算を最新化
  7. 労務管理の外注可能性とコスト比較を実施
  8. 補助金・助成金の最新募集情報をチェック(地域の役場・JA経由)
  9. 経営改善計画(短期・中期)を作成し、税理士・JAと共有
  10. 家族・従業員と危機時の役割分担を明確にする

(参考)大型倒産例と学び

2025年には施設野菜事業を手掛ける(株)サラの大型倒産(負債約157.7億円)があり、負債総額の押し上げ要因となりました。大規模投資と市場リスクのミスマッチが浮き彫りになった点は、畜産分野の大規模投資にも応用できる警鐘です。

まとめ

・2025年の農業倒産は103件で過去最多、負債総額は約402.8億円。酪農・花き・肉用牛の倒産増が目立つ。
・主因は飼料・資材・エネルギーの高騰、人手不足・後継者難、そして一部の大型倒産。
・短期対策:公的資金(セーフティネット等)や負債整理の相談、コスト削減の即時実行。
・中長期対策:法人化・省力化投資・新たな販路開拓・事業承継計画の早期策定。

次の一歩:まずは地域のJA・日本政策金融公庫(JFC)へ相談を入れてください。申請や計画作成を支援してくれます。行政の緊急支援や物価高緩和策も随時公表されています。

参考リンク・出典

  • 東京商工リサーチ(「2025年の農業倒産」データ)。
  • 農林水産省:農林漁業セーフティネット資金(制度概要)。
  • 日本政策金融公庫(JFC):セーフティネット資金説明。
  • TSR 倒産事例((株)サラ詳細)。
  • 農林水産省:物価高騰等の影響緩和に係る金融支援(最新施策)。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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