ブリ・ド・モー チーズとは?歴史・製造方法・味わい・おすすめレシピまで徹底解説

ブリ・ド・モー チーズの歴史とレシピの紹介 乳製品
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ブリ・ド・モー(Brie de Meaux)は、フランスの白カビタイプを代表するソフトチーズで、しばしば「チーズの王様」と呼ばれます。ここでは、起源と歴史、伝統的な製造方法、味わいの特徴、栄養面、相性の良い食材やワイン、さらに家庭で楽しめる簡単レシピまで、酪農の現場経験を持つ筆者の視点でわかりやすくまとめました。

ブリ・ド・モーの歴史と原産地

ブリ・ド・モーはフランスのイル=ド=フランス(Île-de-France)地方、特にモー(Meaux)周辺で生まれた歴史ある白カビチーズです。記録によると中世には王侯貴族の食卓を飾り、時に「王への贈り物」として扱われました。AOP(原産地呼称保護)により、名実ともにモーの地名を冠する正真正銘のブリ・ド・モーは、厳格な生産基準に従って作られます。

なぜ「王様」と呼ばれるのか

その理由は単に味だけではありません。豊かな乳質から生まれる濃厚なテクスチャー、長い歴史、そして伝統に裏打ちされた職人技があるからです。18世紀〜19世紀の美食文化の中で、ブリ・ド・モーはときに宮廷の饗宴を彩る存在でした。

白かびチーズと青かびチーズが並ぶ海外のチーズ売り場
カマンベールやブルーチーズが並ぶ海外のチーズ売り場

製造方法(伝統的な作り方)

ブリ・ド・モーの伝統的な製法は非常にシンプルですが、乳の品質や管理で差が出ます。以下は概略です。

1. 原料乳

生乳(raw cow’s milk)を使うのが伝統。生乳を用いることで風味の深みが増します(ただし生乳由来のチーズは妊婦や免疫抑制状態の方には推奨されません)。

2. 凝固

牛乳を適温に保ち、レンネット(凝固酵素)を加えてカード(凝固塊)を作ります。カードを切断してホエー(乳清)を分離します。

3. 成形と塩漬け

カードを円形の型に入れ、余分なホエーを排出します。軽く塩を振り成形します。これがチーズの基本的な形になります。

4. 白カビの植え付けと熟成

表面に Penicillium candidum(白カビ)を付け、約2〜8週間熟成させます。熟成の進行により中心が柔らかく、表皮が白く覆われてきます。熟成度合いが風味を大きく変えるポイントです。

AOPと現代の生産

AOPの基準では原産地や飼育方法、乳の取り扱い、製法などが細かく規定されています。一方で大量生産モデルでは加熱処理乳を用いたり、熟成を均一化するための工程が追加されます。購入時はラベル(AOPなど)をチェックしましょう。

味わいの特徴・食感

ブリ・ド・モーは「外は白カビの皮、内はクリーミーにとろける」——このコントラストが最大の魅力です。

典型的な風味プロファイル

  • テクスチャ:熟成初期はしっかりめ、成熟が進むとトロトロに。
  • 香り:湿った土やマッシュルーム、わずかな発酵香。
  • 味:ミルキーでバタリー、熟成でナッツやキノコの旨味が出る。
  • 塩味:穏やかで、素材のミルク感を引き立てる。

同じ「ブリ」でも生産地や熟成度で味は大きく変わるため、試食して好みの熟成度合いを見つけるのがおすすめです。

栄養情報と注意点

ブリ・ド・モーは栄養価が高く、タンパク質やカルシウム、ビタミンB12などを含みますが、脂肪分とカロリーは高めです。100gあたりの目安(一般値)

  • カロリー:約330〜360kcal
  • タンパク質:約18〜22g
  • 脂質:約25〜30g
  • カルシウム:豊富

注意点:生乳を使った製品は妊婦や免疫力の低い方は避けるべきです。また塩分・脂肪が高めなので、1度に大量に食べないよう心がけましょう。

ワイン&食材のペアリング

ブリ・ド・モーは“汎用性”の高いチーズ。軽めから中程度のワイン、フルーツ、ナッツ、はちみつなどとよく合います。

おすすめワイン

  • シャンパーニュ(発泡の酸が脂肪分を切る)
  • シャルドネ(バター感を補う)
  • ピノ・ノワール(軽めの赤で果実味を添える)

合わせると美味しい食材

  • フレッシュフルーツ:イチジク、ブドウ、リンゴ
  • ドライフルーツ&ナッツ:イチジクのドライ、クルミ
  • はちみつ、ジャム:酸味のあるベリー系ジャムとの相性◎
  • パン:バゲットやクラッカー

ワンポイント:温めたブリは香りが開き、甘みとコクが際立ちます。オーブンで軽く温めてからフルーツやナッツを合わせるだけで簡単に“リッチな一皿”になります。

家庭で楽しむ簡単レシピ

ここでは初心者でも失敗しにくい「ベイクドブリ」と「和風アレンジ」の2つを紹介します。

レシピ① ベイクドブリ(基本)

所要時間:準備5分+焼成10〜15分

材料(4人分)

  • ブリ・ド・モー(ホール)1個(約200〜250g)
  • はちみつ 大さじ1〜2
  • くるみ(ロースト)適量
  • クラッカーまたはバゲット 適量

作り方:

  1. オーブンを180℃に予熱する。
  2. ブリを丸ごと耐熱皿に入れ、上面に十字の浅い切れ目を入れる(皮を切りすぎない)。
  3. はちみつをかけ、ローストしたくるみを散らす。
  4. 予熱したオーブンで10〜15分、表面に軽く色がつき、中がトロトロになるまで焼く。
  5. クラッカーや薄切りバゲットとともにすぐに召し上がれ。

ポイント:焼きすぎると中心がなくなるので、様子を見ながら加熱してください。余ったら翌日サンドイッチに使うのもおすすめです。

レシピ② 和風アレンジ:味噌&はちみつのブリ焼き

所要時間:準備5分+焼成10〜12分

材料(2〜3人分)

  • ブリ・ド・モー(小さめホール)1個
  • 味噌 小さじ2
  • はちみつ 小さじ2
  • 刻みネギ・七味(お好みで)

作り方:

  1. 味噌とはちみつをよく混ぜ、ペーストを作る。
  2. ブリの表面に十字に浅く切り目を入れ、味噌ペーストを薄く塗る。
  3. 180℃で10〜12分ほど焼き、味噌が香ばしくなったら完成。
  4. 刻みネギや七味を少し振ると、日本酒にも合う一品に。

ポイント:味噌の塩気があるため、はちみつで軽く甘みを補いバランスを取りましょう。

購入・保存のコツ

購入時のチェックポイント

  • AOP表示:本物のBrie de Meauxを求めるならAOPラベルを確認。
  • 製造日/賞味期限:熟成の度合いを見極めるために製造日をチェック。
  • 見た目:白い皮が均一で、過度な湿りや異臭がないこと。

家庭での保存方法

冷蔵庫では湿度の高い野菜室にラップ+アルミで包む、もしくはチーズ用のワックスペーパーで包んで保存します。冷蔵での保存期間は製法や熟成度によるが、開封後は数日内に食べ切るのが理想です。冷凍は風味を損なうためおすすめしません。

よくある質問(FAQ)

Q:ブリ・ド・モーと普通のブリーの違いは?

A:一般に「ブリ」は製法の総称で、地域や生産者によって多様です。Brie de Meauxは特定の原産地・基準を満たす伝統的なブリで、風味や品質に一貫性がある点が特徴です。

Q:妊婦は食べられますか?

A:生乳を使用したブリ・ド・モーはリステリアなどのリスクがあるため、妊婦や免疫抑制状態の方は加熱(十分に温める)してから食べるか、加熱処理乳を用いた商品を選んでください。

Q:初心者におすすめの食べ方は?

A:まずは常温(20〜25℃)に戻して、そのまま薄切りのバゲットやイチジクと合わせるのがシンプルでおすすめです。

まとめ

ブリ・ド・モーは、深い歴史と豊かな乳の旨味を楽しめる白カビチーズの名品です。熟成による味わいの変化を知ることで、より深く楽しめます。ワインやフルーツと合わせたり、軽く焼いて香りを引き出したりするだけで、家庭の食卓がワンランクアップします。初めての方はAOP表記のある商品や専門店で相談しながら選ぶと安心です。

楽しみ方の提案:まずは小さめのホールを買って、熟成の浅いものと進んだものを比べてみてください。味の違いがよく分かり、好みの状態を見つけやすくなります。

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免責事項:本記事は一般向け情報であり、医療・健康上の判断が必要な場合は専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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