乳牛の乾乳期とは?最適期間・栄養・ケア方法を徹底解説

乳牛の乾乳期に必要な最適な期間・栄養管理・ケア方法を図解したイラスト 酪農
乾乳期の基礎知識を図でわかりやすく解説!
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乳牛の乾乳期は、次の乳期の生産量と牛の健康を左右する重要な期間です。本記事では、乾乳期の期間設定から飼料管理、搾乳頻度の調整、代謝性疾患や乳房炎の予防策まで、ステップごとに解説します。管理のポイントを押さえて、次の乳期を最高のスタートにしましょう。

牛さん
牛さん

次の乳期の乳量と健康は、この時期の管理で決まる!

1. 乾乳期とは?その目的と重要性

**乾乳期(ドライ期)**は、分娩前45〜65日間、乳牛の乳搾りを停止する期間です。

  • 乳房の回復:乳腺組織を再生し、次回の乳期に備える
  • 胎児の成長支援:牛が子牛の成長にエネルギーを集中できる

この期間を設けないと、次の乳期での乳量が最大75%まで減少する可能性があります。

牛さん
牛さん

乳腺も休ませなきゃ、次の乳期で働けない!


2. 理想的な乾乳期間と開始タイミング

牛の種類推奨乾乳期間ポイント
初産牛60〜65日間乳腺の発達が未熟なため長めに
経産牛45〜55日間過剰な乾乳は逆効果に
  • 開始の目安
    • 日間乳量 5L以下→即乾乳可能
    • 15〜20L以上→搾乳頻度を段階的に減少する
牛さん
牛さん

乳牛の乾乳管理は、収益性に直結する重要なポイント!


3. 飼料管理の基本:栄養切り替えとバランス

乾乳期は牛の体調を整える要。高タンパク質→低タンパク質に切り替えることで、代謝性疾患を防ぎます。

  • 高タンパク質飼料(アルファルファ、良質サイレージ)→段階的に減量
  • 低タンパク質飼料(コーンサイレージ、干草、チモシー)→満腹感を維持しつつ栄養調整
牛さん
牛さん

乾乳期の栄養管理で、ケトーシスや乳熱の予防に直結!

Compressed imported hay block for dairy cow feed, such as alfalfa or timothy
輸入された圧縮乾草ブロック(チモシー)

栄養バランス目標例(1日あたり)

  • TDN:56%相当
  • 粗タンパク質:11%
  • カルシウム:0.45%
  • リン:0.24%
  • ビタミンA:30,000〜50,000IU¹

※詳細な飼料配合は、牛群の状況や季節によって調整してください。


4.BCS

  • BCS(ボディコンディションスコア)
    • 乾乳期の目標:BCSの維持
    • 過度な体重増加・減少は避け、定期的にスコアをチェック
牛さん
牛さん

乾乳期前からのBCS(ボディコンディションスコア)管理で、代謝性疾患を未然に防ぐ!


5. 健康管理:乳房炎と代謝性疾患の予防

5.1 乳房炎の予防

最後の搾乳後、すべての乳房に乾乳用乳房炎予防薬を注入します。これにより**70%**の潜在的感染を除去できます。

牛さん
牛さん

乾乳直前の乳房炎予防薬で、感染リスクを大幅カット!

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5.2 代謝性疾患の予防

  • 乳熱症(Milk Fever)
    • 低カルシウム飼料(Ca:P比2:1)
    • 治療:カルシウムグルコン酸塩、酢酸カルシウム
  • ケトーシス
    • 出産前10日〜出産後10日:ニアシン6g/日補給
牛さん
牛さん

分娩前後は免疫が下がる時期!周産期病に気をつけよう!


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6. ストレス軽減&環境整備のコツ

  • 清潔な環境:良く排水された敷地と十分な敷料(120平方フィート/頭)
  • 分娩房への移動ストレス対策:分娩前3〜10日の移動は控える。分娩前48時間以内か11日以前に移動する。
  • 静かな空間:出産前後は騒音を最小限に抑える
牛さん
牛さん

分娩房への移動はタイミングが命!


7. 出産前後のケア手順

  1. 出産10日前:穀物を徐々に増量し、出産時まで体重100ポンドあたり0.5〜1ポンドを目安に補給
  2. 出産直後:完全に搾乳し、乳房炎を早期に防止
  3. 初回OAD後:健康チェックとBCS測定を実施
牛さん
牛さん

出産前後のルーティンを整えれば、乳牛の健康寿命が延びる!


8. よくある質問(FAQ)

  • Q1: 乾乳期は何日が理想?
    A. 初産牛は60〜65日、経産牛は45〜55日が最適です。
  • Q2: 乾乳中の飼料切り替え方法は?
    A. 2週間かけて高タンパク質→低タンパク質飼料へ段階的にシフト。
  • Q3: 乳房炎予防の具体的手順は?
    A. 最終搾乳後すぐ、すべての乳房に乾乳用抗菌薬を注入。

9. まとめと次のステップ

  • 乾乳期の意義:分娩前45〜65日間の乳搾停止で乳腺回復と胎児育成を両立し、次期乳量を確保。
  • 期間設定:初産牛は60〜65日、経産牛は45〜55日が目安。個体の乳量に応じて開始タイミングを調整。
  • 飼料管理:高タンパク質飼料を段階的に減らし、コーンサイレージや干草主体の低タンパク質配合へ移行。
  • 搾乳頻度・BCS維持:乾乳期間中は16時間ごと、出産前はOADへシフト。BCS増減を定期チェックし、適正体重管理。
  • 疾病予防:乾乳用乳房炎薬で70%の潜在感染を除去。乳熱症はCa:P比調整、ケトーシスはニアシン補給で予防。
  • 環境・ストレス管理:清潔・静穏なストール、良排水と十分な敷料で負荷軽減。輸送後の粗飼料確保も忘れずに。
牛さん
牛さん

乳房炎や乳熱、乾乳期から防げるんだね!

乾乳期の管理が“次の乳量”を決める


乳牛の乾乳期は、適切に管理することで次の乳期の生産性向上と牛の健康維持に直結します。この記事を参考に、乾乳期間の確認→飼料管理→健康チェックという流れを実践してみてください。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

毎日牛乳1L飲んでます!

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