宮入菌:Clostridium butyricum MIYAIRIは、酪酸を産生して腸内環境を整える生菌剤として酪農現場で広く用いられています。本記事では、ミヤリサン製薬の公式情報や動物用医薬品データベース、学術研究をもとに、子牛の下痢予防・成長促進・第一胃異常発酵への適用など実務で使える具体的な効果と給与法を分かりやすく解説します。公式添付文書に基づく用量表・現場事例・注意点まで網羅しているので、現場で今日から使えるガイドとしてお読みください。
根拠:なぜ宮入菌は効果が期待できるのか
宮入菌は酪酸を産生する芽胞形成菌であり、胃酸を経ても生存しやすく生きたまま腸に到達して酪酸を供給します。酪酸は腸管上皮の主要なエネルギー源となり、腸粘膜の保護・再生を助けるため、下痢軽減や栄養吸収改善につながります。
※製品ごとの効能(例:単純性下痢の予防・治療)は動物用医薬品添付文書に明記されています。実務では添付文書と獣医師の指示を優先してください。
実務:製品別の特性と現場での使い方(具体例)
現場でよく使われる製品と主な用途、実際的な給与例を以下に示します。
| 製品名 | 主成分 | 主な効果 | 現場での給与例(目安) |
|---|---|---|---|
| 動物用ミヤリサン(製剤) | 宮入菌含有(製品により添加物あり) | 単純性下痢の予防・治療 | 体重100kg以下:20g/日、100–300kg:40g/日、300kg以上:80g/日(分割給与可) |
| ミヤゴールド | 酪酸菌(宮入菌) | 腸内環境改善・発育促進 | 飼料に0.05〜0.5%添加(製品指示に従う) |
| ボバクチン | 宮入菌+乳酸菌配合 | 第一胃異常発酵の改善 | 獣医師指示に従う(第一胃疾患に対する治療薬) |
| 獣医用宮入菌末 | 宮入菌末(生菌) | 子牛の単純性下痢予防・治療 | 子牛(哺乳期):1日2〜6億個(飼料混ぜ)※製品により単位が異なるため要確認 |

給与の実務ポイント(現場で必ず確認)
- 製品ごとに規定の用量・回数が異なるため、添付文書を優先して確認する。
- 抗生物質など併用薬がある場合、効果が変わることがあるため獣医師に相談する。
- 下痢が重症・血便・脱水が強い場合は速やかに獣医師の診断を仰ぐ。
研究・公的資料から見るエビデンスの要点
複数の研究・試験報告では、子牛に対する生菌剤(宮入菌含む)の投与で腸内細菌叢の安定化、下痢発生率の低下、増体率の改善などが報告されています。公的データベースにも「単純性下痢の予防・治療」として効能が記載された製品が存在します。
現場での適用例(ケーススタディ)
ケース1:生後1〜3週の哺乳子牛で下痢が頻発する場合
早期に獣医師と連携し、獣医用宮入菌末を飼料に混ぜて投与。併せて哺乳管理(ミルク量・温度)、隔離と消毒を強化し、2〜4日で排便の改善が見られるケースが多い。
ケース2:育成期の飼料効率を向上させたい場合
ミヤゴールドのような飼料添加型を継続投入し、体重増加率(ADG)や飼料要求率(FCR)を一定期間モニタリングする。短期間で劇的な変化は期待しないが、中長期で安定した改善が得られることが多い。
よくある質問(Q&A)
Q1. 子牛の下痢には必ず効きますか?
A. 単純性下痢(感染や消化不良が原因の一般的な下痢)には有効性が示されていますが、原因が寄生虫・ウイルス・栄養性の複合要因である場合は単独では不十分になることがあります。重症例は獣医師による診断が必要です。
Q2. 人用ミヤリサンと同じものを牛に使って良いですか?
A. 人用製剤と動物用製剤は製法・成分量・添加物が異なります。酪農用途では動物専用製品を使い、添付文書に従ってください。
Q3. 副作用はありますか?
A. 一般には安全性は高いですが、まれに個体差で体調不良を起こすことがあります。死亡例は稀ですが報告例があるため、異常があれば投与を中止して獣医師に相談してください。
現場で今すぐできるチェックリスト(行動)
- 使用予定の製品の添付文書をダウンロードし、適応・用量を確認する。
- 獣医師と相談して、施設の現状(発生頻度・酷さ)に合わせた投与計画を立てる。
- 投与前後で体重・排便状態・食欲を記録し、効果を定量的に評価する。
- 他薬(抗菌剤・整腸剤等)との併用ルールを確認する。
まとめ
宮入菌は、子牛の単純性下痢予防や腸内環境の安定、結果としての発育改善に有用な生菌剤です。現場での導入は「公式添付文書の遵守+獣医師との連携+効果の記録」を必須としてください。投与量や投与法は製品ごとに異なるため、まずは添付文書を確認し、実際の運用は獣医師と相談のうえ段階的に評価しましょう。
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