感染リスクを最小限に!
敷材や牛舎環境から感染するOS乳房炎の基礎知識と、現場で実践できる予防策を徹底解説します。

牛さん
感染リスクを最小限に抑える乳房炎対策の基本!
OS乳房炎とは?
環境性レンサ球菌乳房炎(Environmental Streptococcus Mastitis, 略してOS乳房炎)は、牛舎の敷材や土壌、糞便などに常在するStreptococcus uberisやStreptococcus dysgalactiaeが原因となる乳房炎です。
- 伝染性乳房炎とは異なり、牛同士の直接感染より「環境から牛へ」の経路がメイン
- 乳量低下や治療コスト増加を招き、繁殖効率にも影響
Point:環境由来の菌を管理することで、群全体の乳房炎発生率を大幅に下げられます。

牛さん
環境性レンサ球菌の感染経路を理解して予防を強化
原因とリスク要因
- 主な原因菌
- Streptococcus uberis:症例の約80%を占める
- Streptococcus dysgalactiae:環境性だけでなく、牛間伝播の可能性も
- 感染源
- 汚れた藁、木くず、泥土(敷材)
- 牛舎の糞便や汚水
- 牛の体表(口腔、鼻腔など)
- 高リスク期
- 乾乳期:特に乾乳後2週間と分娩前2週間
- 季節:雨が多く蒸し暑い夏~秋
- 栄養管理のポイント
- ビタミンE・セレン不足 → 免疫力低下
- 負のエネルギーバランス → 抵抗力減少

牛さん
汚れた敷材や糞便が感染源!牛舎の清潔維持が必須
症状と診断方法
臨床型
- 乳汁異常:血液混入、凝固塊
- 乳房症状:腫脹・熱感・痛み
- 全身症状:発熱、食欲不振

牛さん
発熱や食欲不振など全身症状も伴うことも
亜臨床型
- 外見上は正常
- **乳汁体細胞数(SCC)**の上昇で検出(200,000 cells/mL以上が目安)

牛さん
乳汁異常なしでも亜臨床型は乳質低下の原因に
診断ツール
- SCCモニタリング(定期測定)
- 細菌培養検査(原因菌を特定)
- 自分の牧場では月に一回バルク乳検査を行っています。

治療の基本
- 抗生物質乳房内注入
- 乾乳期治療:治癒率75%以上
- 主にβ-ラクタム系を使用
- 支持療法
- 抗炎症薬で痛み・腫れを軽減
- 十分な休息と栄養補給
- 注意点
- 抗生物質の過剰使用は耐性菌リスクを高める
- 治療後は必ず出荷停止期間を守る

牛さん
抗生物質の使いすぎは耐性菌リスクに注意
すぐ使える予防策
- 環境衛生
- 乾燥した砂敷材を推奨(藁・木くずは頻繁に交換)
- 牛舎内に水たまりを作らない
- 搾乳衛生
- ポストディッピング:搾乳後の乳頭消毒は必須
- 機器洗浄:使用後すぐに消毒・乾燥
- 栄養管理
- ビタミンE・セレンのサプリメント補給
- 出産前後のエネルギーバランス管理
- 害虫対策
- ハエ駆除トラップや忌避剤の設置
- 定期検査
- バルク乳検査で群全体の傾向を把握

牛さん
搾乳機器は清潔第一!
経済的影響と現場へのメリット
- 乳量減少:一頭当たり年間数百kgの損失も
- 治療費増加:薬剤・労務コスト
- 除用リスク:重症化で早期除用・死亡例も
- メリット:予防策導入で乳量維持、治療コスト削減、乳質向上

牛さん
乳量減少は見逃せない大損失!
よくある質問(FAQ)
Q1. 環境性レンサ球菌乳房炎はどうやって見分ける?
→ SCC上昇+細菌培養で確定診断が基本です。
Q2. 藁敷きと砂敷き、どちらが良い?
→ 砂は排水性が高く菌繁殖が抑えられやすいですが、コストと作業性を考慮して併用も◎。
Q3. 乾乳期治療は全頭行うべき?
→ 群全体のリスクに応じて「選択的乾乳期治療」を導入するとコスト最適化できます。
まとめ
環境性レンサ球菌乳房炎は「環境管理+栄養管理+衛生管理」の三本柱で大きくリスクを減らせます。まずSCCモニタリングとポストディッピングから始め、バルク乳検査で群全体の状態を把握することをおすすめします。日々の管理が、乳牛の健やかな生産性維持につながります!

牛さん
環境・栄養・衛生の三本柱で乳房炎リスクを大幅減!
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