牛の乳房炎対策:環境性レンサ球菌(OS)感染を防ぐ5つのポイント

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砂敷材・SCCモニタリング・ポストディッピングなど5つのアイコンで示す環境性レンサ球菌(OS)乳房炎予防の図解 酪農
環境性OS乳房炎を防ぐ5つの対策
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感染リスクを最小限に!
敷材や牛舎環境から感染するOS乳房炎の基礎知識と、現場で実践できる予防策を徹底解説します。

牛さん
牛さん

感染リスクを最小限に抑える乳房炎対策の基本!


OS乳房炎とは?

環境性レンサ球菌乳房炎(Environmental Streptococcus Mastitis, 略してOS乳房炎)は、牛舎の敷材や土壌、糞便などに常在するStreptococcus uberisStreptococcus dysgalactiaeが原因となる乳房炎です。

  • 伝染性乳房炎とは異なり、牛同士の直接感染より「環境から牛へ」の経路がメイン
  • 乳量低下や治療コスト増加を招き、繁殖効率にも影響

Point:環境由来の菌を管理することで、群全体の乳房炎発生率を大幅に下げられます。

牛さん
牛さん

環境性レンサ球菌の感染経路を理解して予防を強化


原因とリスク要因

  1. 主な原因菌
    • Streptococcus uberis:症例の約80%を占める
    • Streptococcus dysgalactiae:環境性だけでなく、牛間伝播の可能性も
  2. 感染源
    • 汚れた藁、木くず、泥土(敷材)
    • 牛舎の糞便や汚水
    • 牛の体表(口腔、鼻腔など)
  3. 高リスク期
    • 乾乳期:特に乾乳後2週間と分娩前2週間
    • 季節:雨が多く蒸し暑い夏~秋
  4. 栄養管理のポイント
    • ビタミンE・セレン不足 → 免疫力低下
    • 負のエネルギーバランス → 抵抗力減少
牛さん
牛さん

汚れた敷材や糞便が感染源!牛舎の清潔維持が必須


症状と診断方法

臨床型

  • 乳汁異常:血液混入、凝固塊
  • 乳房症状:腫脹・熱感・痛み
  • 全身症状:発熱、食欲不振
牛さん
牛さん

発熱や食欲不振など全身症状も伴うことも

亜臨床型

  • 外見上は正常
  • **乳汁体細胞数(SCC)**の上昇で検出(200,000 cells/mL以上が目安)
牛さん
牛さん

乳汁異常なしでも亜臨床型は乳質低下の原因に

診断ツール

  • SCCモニタリング(定期測定)
  • 細菌培養検査(原因菌を特定)
  • 自分の牧場では月に一回バルク乳検査を行っています。
ホルスタイン牛のバルク乳検査を行う酪農家のイラスト – 月1回の品質管理風景
牛舎で月1回、ホルスタイン牛のバルク乳検査を行う酪農家。

治療の基本

  1. 抗生物質乳房内注入
    • 乾乳期治療:治癒率75%以上
    • 主にβ-ラクタム系を使用
  2. 支持療法
    • 抗炎症薬で痛み・腫れを軽減
    • 十分な休息と栄養補給
  3. 注意点
    • 抗生物質の過剰使用は耐性菌リスクを高める
    • 治療後は必ず出荷停止期間を守る
牛さん
牛さん

抗生物質の使いすぎは耐性菌リスクに注意


すぐ使える予防策

  1. 環境衛生
    • 乾燥した砂敷材を推奨(藁・木くずは頻繁に交換)
    • 牛舎内に水たまりを作らない
  2. 搾乳衛生
    • ポストディッピング:搾乳後の乳頭消毒は必須
    • 機器洗浄:使用後すぐに消毒・乾燥
  3. 栄養管理
    • ビタミンE・セレンのサプリメント補給
    • 出産前後のエネルギーバランス管理
  4. 害虫対策
    • ハエ駆除トラップや忌避剤の設置
  5. 定期検査
    • バルク乳検査で群全体の傾向を把握
牛さん
牛さん

搾乳機器は清潔第一!


経済的影響と現場へのメリット

  • 乳量減少:一頭当たり年間数百kgの損失も
  • 治療費増加:薬剤・労務コスト
  • 除用リスク:重症化で早期除用・死亡例も
  • メリット:予防策導入で乳量維持、治療コスト削減、乳質向上
牛さん
牛さん

乳量減少は見逃せない大損失!


よくある質問(FAQ)

Q1. 環境性レンサ球菌乳房炎はどうやって見分ける?
→ SCC上昇+細菌培養で確定診断が基本です。

Q2. 藁敷きと砂敷き、どちらが良い?
→ 砂は排水性が高く菌繁殖が抑えられやすいですが、コストと作業性を考慮して併用も◎。

Q3. 乾乳期治療は全頭行うべき?
→ 群全体のリスクに応じて「選択的乾乳期治療」を導入するとコスト最適化できます。


まとめ

環境性レンサ球菌乳房炎は「環境管理+栄養管理+衛生管理」の三本柱で大きくリスクを減らせます。まずSCCモニタリングポストディッピングから始め、バルク乳検査で群全体の状態を把握することをおすすめします。日々の管理が、乳牛の健やかな生産性維持につながります!

牛さん
牛さん

環境・栄養・衛生の三本柱で乳房炎リスクを大幅減!

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

毎日牛乳1L飲んでます!

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